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● Binaural Beats あるいはBinaural tonesは「両耳性うなり」と日本語訳されます。一つの音源から440Hz(一秒間に440回振動する音:Hzはヘルツと読みます)の音が発振され、もう一つの音源から450Hzの音が発振された場合、二つの音は空気という媒体の中で干渉しあって振動数の差10Hzのうなり音を我々の耳に届けます。次の絵を見てください。

二つのSine波が干渉しあってうなり音を形成している様子が視覚的とらえることが出来ます。この現象は一点の曇りもない物理現象で、古くから知られていたものです。二つの音の振動数をそれぞれF1、F2とし、その二つの音から生じるうなり音の振動数をFとすれば F=| F1-F2 | という等式が成り立ちます。

では、もしヘッドフォーンを使って一つの音(440Hz)を左耳で聴き、別の音(450Hz)を右の耳で聴いたらどういうことが起きるでしょうか? もはや二つの音は空気中で干渉することはないのです。一般的なうなり現象は起きないはずです。しかし、不思議なことに、私たちは10Hzのうなりを聴くことになります。確かにきれいなうなり音が聞こえて来るのです。

● この現象を最初に発見したのはプルシャ(ドイツ)の気象学者、物理実験家Heinrich Wilhelm Doveで、1839年の事でした。170年も前にどのような装置で実験したのか興味津々ですが、私は子細を知りません。オーディオ装置もヘッドフォーンもない時代ですから、おそらく音叉(おんさ)と木管か金管を使ったのではないかと想像します。

● 生理学的にはBinaural Beatsは脳幹(brainstem)にある二つの上オリーブ核(superior olivary nucleus)で作られます。左右の耳から入ってきた音声刺激は別々に上オリーブ核に送られ、振動数の差などを検知して3次元的な方位を決定したりします。ここは言わば音声処理装置(sound-processing center)と呼ぶにふさわしい場所です。

私たち人間のうなり音の可聴領域の上限は個人差もありますが1000~1500Hzと言われています。(これは人間の頭蓋骨の直径と音の回折に起因しています。)さらに30Hz以下の通常音は音として認識できません。したがって、30Hz以下の音で脳を刺激するにはうなり音が必要となるわけです。この範囲は実際にBinaural Beats Generator を使う場合に考慮しなくてはなりませんので記憶にとどめておきましょう。

● さて、両耳性うなり音が聞こえてくる原理はおぼろげに理解できたとして、そのうなり音と脳波(brainwaves)の関係を説明します。脳波の存在を知るには脳波計 ( electroencephalograph : EEG)の発明を待たなくてはなりませんでした。頭部の表面にいくつかの電極をセットし頭部表面の電位を測定しますと電位がある周波数で変化する、あるいは振動していることが発見されました。人間の脳における脳波を本格的に研究した科学者はドイツの Hans Bergerで1920年のことです。その後、イギリスの科学者William Grey Walterが人間の脳の脳波分布を研究し、マップを作りました。1950年のことです。

脳の周波数同調現象(frequency following response : FFR)が発見されたのはその後のことです。周波数同調現象とは一言でいえば外部からの刺激によって脳波がその刺激に同調する現象です。たとえば脳が20Hzの脳波(Beta waves)を出しながら活発に活動していたとしましょう。そこに外部から10Hzの音の刺激が加えられますと、脳はその周波数に同調して10Hzの脳波(Alpha waves)を出すようになります。もっともこれはたとえて言えばということで、実際にはこのようにきちんとした同調が起きるわけではありません。そもそも脳は部位によって様々な脳波を出しており、その基調となる周波数をその脳の脳波と呼んでいます。脳波同調にしても、脳全体が一律に一つの脳波に統一同調するわけではなく、基調となる脳波が刺激の周波数に近づいていくというものです。

Binaural Beatsが左右二つの上オリーブ核で認識されることを思い出してください。この情報は左右の脳半球に伝達され、二つの半球が協調して脳波同調現象を引き起こします。体外離脱やモンロー研究所で有名なアメリカのRobert Allan MonroeはこれをHemi-Sync(ヘミシンク)と名付けました。hemispheres synchronizationの略です。1958年前後のことと思われます。

● 脳波の種類をしっかり押さえておきましょう。Binaural Beatsによる瞑想にはこの知識は欠かせません。

・ガンマ波(Gamma waves)30~80Hz:非常に精神が興奮した状態で、必至に問題を解決しようとしているときとか、恐れを抱いたときなどに現れます。

・ベータ波(Beta waves)14~30Hz:集中しているとき、一生懸命仕事をしているときなどに現れます。

・アルファ波(Alpha waves)8~14Hz:ご存知、リラックスしているときに現れます。

・シータ波(Theta waves)4~8Hz:うとうとしかけたとき、夢を見る浅い眠り、そして、深い瞑想状態で現れます。

・デルタ波(Delta waves)4Hz以下:ぐっすり眠っているときに現れます。

● 脳波同調現象(FFR)が理解できたと思います。しかし、ここで当然ながら疑問が生じてくるはずです。FFRはBinaural Beatsだけによって引き起こされるのか? 答えはNoです。音に関して言えばパルス的な単音(トントントンという単音)によってもFFRは引き起こされます。日本の有栖 光一さんが「おべぱるす」という単音パルスを公開していますので参照してみてください。Binaural BeatsによるFFRと単音パルスによるFFRに差があるのかどうか、つまり、脳のどの範囲にどれだけの強度でFFRが引き起こされるのか、脳波計によって測定し、データを集めなくてはならないのですが、私には脳波計がありませんので今は何とも言えません。科学者の研究を待たなければなりません。

また、FFRは音だけによって引き起こされるものでもありません。光があります。たとえば、一秒間に10回点滅するライトを浴びることで脳波が10Hzに同調していきます。この光によるFFRを引き起こすゴーグルが売られていますが安いものではありません。しかし、Dreamachineという、厚紙とランプとレコードのターンテーブルで作る光FFRマシーンがあります。Dreamachineの作り方に関しては別ページで説明するつもりでいますが、形はこんなものです。

● Binaural Beatsに関する科学的研究は数多くあります。そのすべてが脳波同調現象(FFR)を確認しています。(少なくとも私は否定的な記事を読んだ覚えはありません。) しかし、ここで非常に面白いのは、Binaural BeatsのみではFFRの効果があまり大きくないという事実です。個人差や習熟度も影響するのですが、バックグランドのサウンドに大きく依存するようです。そこで、普通Binaural Beatsのうなり音を聴く場合はバックにノイズ(White-noise or Pink-noise)や波の音、雨音やせせらぎの音をかぶせます。こうすることで同調までの時間が短縮され、同調の強度も増えると報告されています。

● さて、いよいよBinaural Beatsを試してみましょう。これにはもちろんBinaural Beatsを発生する装置(ソフト)が必要です。いくつかご紹介します。ご紹介するのはすべてFree(無料)のソフトばかりとします。(有料のものもありますが決して高価ではありません。興味がありましたキーワード"brainwave"で検索してみてください。"BrainWave Generator"というソフトなどが引っかかってきます。)

・MacOSX用としては、当クラブ支配人大畑が自らソフトを作りました。MacBinauBeatsという名前のソフトで、同時に二つのSinewaveとPink-noiseを発生させることができます。次のサイトから入手できます。

 http://www.ictnet.ne.jp/~oohata/

・Windows用として次の二つをご紹介します。どちらも私のMacBinauBeatsよりも高機能です。(ただし、使いやすさの点からは私のソフトの方がちょっと上かな?と自負しています。)

WinAuralは http://pantheon.yale.edu/~bbl2/WinAural_readme.htm からダインロードできます。

Gnauralは http://gnaural.sourceforge.net/download/ からダウンロードできます。このソフトを動かすにはGTK+ 2 Runtime Environment が必要ですが、同じサイトからダウンロードページにアクセスできます。

・MacOSX、Windows、Linux用として、非常に高機能のソフトをご紹介します。ただ、高機能を使いこなすにはcommand lineからの操作が必要ですのでパソコンの初心者にはちょっと無理かもしれません。

SBaGenは http://uazu.net/sbagen/ からダウンロードできます。

・バックグランド サウンドとしては当クラブ支配人大畑の手作りサウンドをご提供します。60分〜70分もののmp3ファイルを数種類用意しました。波の音、せせらぎの音、雨音、教会の鐘の音、コーラス、般若心経などです。このバックグランド サウンドは今後徐々に増やしていくつもりです。これらのファイルをダウンロードするにはMemberに登録してください。Loginしたページに置いておきます。(もちろん、登録もダウンロードも無料です。なにしろここは'Free'なMeditation Clubですから。)

● では、[Meditation]のページ進んでください。初心者用の簡単な、しかし成果抜群の瞑想法を解説します。