凍結乾燥梅肉粒

これは自衛隊で使用されている、発汗時のナトリウム補給錠剤で、米軍で使用されている塩の錠剤に比類したものであります。

常に屋外でハードな訓練に明け暮れる自衛隊員は、真夏の炎天下であろうと、クーラーの無い閉め切った戦闘車両の中であろうと、重い装備を身につけ、分厚い防弾着を身に纏い、汗にまみれながらも、任務を忠実に遂行しなければなりません。
ただでさえ蒸し暑い日本の真夏日、訓練がハードであれば隊員は1時間におよそ2000〜3000ccもの汗をかくといわれています。 もちろんこれは正常な生理的機能なので、汗を止めることはできません。 そこで隊員は常に水筒を持ち歩き、水分補給に勤めなければならないのですが、ここで問題になるのが体内のミネラルバランス。 汗の成分の99%は水分なのですが、残りが塩分や微量の尿素で、あまり大量に汗をかき、水分ばかり取っていると体内のナトリウム(血中塩分濃度)が下がってしまいます。 すると細胞組織内外の浸透圧バランスが狂い、体に多くの変調をきたしてしまい、例えば「足がつる」というのは、体の塩不足を必死で訴えているひとつの例にほかなりません。塩のナトリウム分は「神経・筋肉の働きを調整する」 という役割があり、ナトリウムが不足すると筋肉の収縮と弛緩の連携がうまく行かなくなり収縮しっぱなしという状態に陥ります。 その後さらに血中塩分濃度が下がると、老廃物が体外に排出されなくなり、疲れやすく、全身がだるくなり、思考力が低下し、直に意識障害を起こして脳や内臓にも多くの障害を残し、最悪死に至るという恐ろしい結果を招く事にもなりかねません。

そこで夏の訓練時に衛生から支給される物が、この「凍結乾燥梅肉粒」です。
一つ包みに3粒の錠剤が入っており、これは純100%梅肉とシソを凍結乾燥して固めたもの。
だから袋を開封して香り立つ臭いをかいだ瞬間、あの梅干独特の香りが記憶中枢を刺激し、パブロフノ犬状態で条件反射的に唾液があふれ出してきます。 
もちろん味もそのまま梅干を食べている感じなのですが、硬く圧縮されているので、口の中で舐めていても溶けきるまでに10分以上を要しました。
そのため水が無い時に乾いた喉を潤すのにも役に立つ事でしょう。
驚いた事に塩の錠剤と違い、口の中で味が消えるまで唾液が出続けるので、その後無性に喉が渇くという事もありませんでした。
また梅干にはクエン酸やリンゴ酸などの有機酸、カルシウム、鉄などのミネラル類、カロチンなどの微量成分なども豊富に含まれており、特にクエン酸は疲労物質である乳酸を、クエン酸サイクルによってエネルギーに転換します。 これにより疲れの元を活力に変える働きがあります。

コレを実際に支給された隊員の話では、使う時は発汗の量にもよりますが、通常1〜2錠を水といっしょに飲み、 3錠だと塩分の取りすぎになるそうです。
ただし、24粒入りの同等市販品にも特にその様な注意書きは無いので、3錠程度であればそれほど問題にはならないでしょう。

そういえば某戦闘糧食本にて、航空自衛隊の非常食に乾燥梅干を入れるといいのではというアイデアがありましたが、まさにこれが入ると理想的ではないでしょうか? 乾燥圧縮されてコンパクトだし、喉が渇きませんから。

この珍しいアイテムは、オスカー様から解説つきで送っていただきました。
ありがとうございました。