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ウクライナ軍戦闘糧食

ロシアをはじめ様々な国と国境を接するウクライナは温暖で肥沃な大地が育む豊かな穀倉地帯であるため、幾度も侵略の戦乱に巻き込まれた歴史を持つ国である。 また旧ソビエト連邦時代は第二共和国としてもっとも工業力が進んだ国であり、独立後もその工業力、農業力を背景に総員24万5千人の正規軍と、準軍事組織である国内軍と国境軍を持つ、ロシアに次ぐ強大な軍事力を有している。 そのウクライナ軍の戦闘糧食だが、ソビエトから独立間もない頃は、パッケージに印刷すらされていない穀物と肉の缶詰を箱に詰め、紅茶を足しただけの非常に簡素な物であった。しかし最近、非常に近代的な新型戦闘糧食が登場したのだ。 旧共産圏の糧食は中々手に入らないが、今回幸運にもこの新型ウクライナレーションを入手出来たので、早速ご紹介しよう。

ウクライナ軍の新型戦闘糧食はロシア軍の戦闘糧の影響を受け、良く似たプラスティックトレー入りだが、ロシア軍のものより一回り大きくなっている。 このトレーは朝昼晩と分かれており、食べ終わって空になったトレーを切り離す事が可能だ。 ただロシア軍のものよりケースは厚いが柔軟性が無い為、非情に割れやすいと言う欠点がある。さらにトレーの蓋を覆っているアルミシートは厚みがあり丈夫なのだが、これもアルミの一層構造なので弾力が無く穴が開き易いのと、さらに問題なのが、蓋をトレーに熱蒸着させる際の熱で内容物であるクラッカーの薄いビニール袋が溶けて、6パックはいっているクラッカーパック全てに穴が開いてしまっていた事だ。 しかしこれらの弱点は一時的なもので、今後様々なノウハウを吸収し、さらに進化したウクライナ軍レーションが登場する事を期待しよう。

ウクライナ軍レーションパックは、サイズ33Cm×22Cm×8Cmと、ロシア軍のものより一回り大きい、 蓋のアルミシートにはウクライナ語で朝・昼・晩・各パックの内容物および容量が書かれているようだ。 各パックのセパレート部分は一番左のパックは四角いが、右側のパックは斜めに仕切りが入っているので直角三角形を上下にあわせたような形になっている。何故このような形状なのかは不明だが、三角の端の狭い部分には物が詰め込み難く、これも改良の余地がありそうだ。





パックの中にはコレだけの物が詰め込まれている。 基本的な1食分の構成は、ビスケット2パック、缶詰1〜2個、ドリンクパック、ジャム、など。 これにチキンブイヨンやキャンディーなどが付属する。 さらにアクセサリーであるナプキン、ウェットティッシュ、スプーンなどがご丁寧に1セットづつ入っているのだが、ロシア軍にはある簡易ヒーターは付属していない。





通常はこれを三回に分け、24時間かけて消費する。 一食分の分量としてはそれほど多くないが、穀物のカーシャやビスケットなどの炭水化物が多いので、比較的腹持ちは良いだろう。 メニュー構成はロシア軍のレーションにとてもよく似ているが、元々ウクライナは食文化が多様で、ウクライナの料理がロシアに浸透して、ロシアの郷土料理になったメニューも多いのだ。


麦のカーシャ

250g缶入りの麦のカーシャと蕎麦のカーシャ  カーシャとは穀物を肉やラードまたは牛乳とともに煮たスラブ風雑炊で、東欧では良く食べられている伝統料理だ。 採れた穀物を麺やパンなどに加工するのには、粉に挽いたり、練り上げたりと余分な手間が掛かるため、手間の掛からないカーシャは古くから貧しい庶民の食卓の主役だった。 食感はボソボソして、味も単調だが、これこそスラブ民族の伝統の味。
蕎麦のカーシャ


クラッカー

クラッカーは日本の乾パンに良く似た小型の物だ。 元々小型乾パンはビスケットを割れ難くし、焼き上げのスピードを速め、一口で食べられるようにドイツで考案されたもので、ウクライナもドイツの影響を受けた物と思われる。 日本の乾パンより薄いが、1食につき50g×2袋、計6袋も入っているので、ボリュームは満点だ。 味に飽きが来たら、付属のアップルジャムやパテを付けて食べる。

魚の缶詰

160g缶入りサーモンのオイル漬けは、塩とアクセントの粒胡椒であっさり味付けされており、非常に食べやすい。 日本人の味覚にもあうので、かなり量があるように見えたが、あっという間に食べきってしまった。


ミートムース

100g 缶入りムース風のふわふわミートパテ。 淡いピンク色できめが細かく、口の中で解けるような食感。 味付けもあっさりして本当に美味しい。

牛缶

100g 缶入りビーフ缶 コンビーフ風の塩辛い味付けだが、汗をかいた時にはちょうど良い。 冷えたままだと肉汁がゼリーになって固まっているので温めた所、臭みが出て食べ難くなってしまった。これはそのまま食べる物なのだろう。


インスタントスープ

チキンブイヨンスープは固形濃縮スープだが、かなりのお湯で溶かさないと濃くて飲めない。 結局1リッター近くのお湯で溶いてちょうど良い味付けになった。 朝食パックにはこれが2個も付属する。


キャンディー類

ハッカと緑茶を混ぜたような不思議な味のキャンディーが、昼食と夕食に3こづつ、計6こ付属する。 さらに黄色い糖衣ビタミンの錠剤も1粒付属している。


インスタントティー

ドリンクは基本的に1食につき1パックづつ、朝食と昼食には粉末紅茶、夕食には粉末ジュースが付属する。粉末紅茶にははじめから砂糖が加えられているのだが、別に20g入り砂糖が1パックづつ付属するのだ。 粉末ジュースは人工的な味であまり美味しくない。


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