そっと触れた水面のように、
 小さな始まりでしかないけれど。
 童は自分自身の為に、足を一歩踏み出した。
 道が道であるために、前へ進む意志がある。
 歩く者の絶えてしまえば、道はただの土になり、
 羽ばたく鳥の絶えてしまえば、空は薄まりゼロになる。
 童 一人で考えた。
 楽な歩きでいる時に、これで良いの? と考えた。

 童 誰にも言われずに、
 荒れた道へ 足に任せた。
 尖る石に 刺さる草、
 泣いて 耐えて 足を信じて。。
 やがて童は知っていく、
 あゆむ一歩が 努力の一だと。
 一を重ねて 百になる、百を重ねて 千になる、
 千を重ねてその先に、広い世界のある事を。
 強くなろう 強くなろう、
 痛いことも 苦しいことも、楽になるほど強くなろう。
 弱い足じゃ 返される、小さな心じゃ 潰される。
 丘の向こうは知らない何処か。知らない何処かは怖いところ。
 怖いが怖くないになれ。
 あたしがあたしじゃないになれ。
 見えないものを 見てみたい。
 知らないことを 聞いてみたい。
 翼は誰でも 生えているよと、
 生えているけど 小さいのだよと。
 小さな羽じゃ 飛べぬよと。
 強くならなきゃ 行けぬよと。
 童は 知っていたかもしれないし、
 知らなかったかもしれないけれど、

 ただただ その 小娘は、
 そうすることが 好きだった。
 踏んだ一歩の数だけが、つぼみを空に押し上げる。
 踏んだ道が痛いほど、枯れぬ大きな花になる。
 友であって 敵である、
 黙って過ぎる 時だけが、
 童にそっと教えてくれた。
 今の次は 今であり、そのまた次も今だけど、
 今はたった 一度だけ。何度起きても一度だけ。
 変えられるのは 一度だけ。
 何か出来るのは 一度だけ。
 今今々と 今今々が、何万何億起きてはみても、
 見る聞く話すは一度だけ。
 今という今に 一度だけ。
・・。
・・。
・・。 と、
 童は歩き続けます。

 どこかの道を、どこかの今を。
 「道は歩くためにあるんだわ」

 それが当然と 言わんばかりに。
 ・・・・・・ ・・・・・・・。
(それが当然と 言わんばかりに)
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